乾癬
乾癬
乾癬
乾癬(かんせん)は遺伝的な素因や環境因子など様々な因子によって免疫系が活性化され、皮膚が皮膚に白くカサカサしたフケのようなもの(鱗屑)が付いたり、皮膚が赤くなり、盛り上がってくる発疹が全身に広がったりする皮膚疾患です。
よく“乾癬”と“感染症”を同じと思われている方がいらっしゃいますが、全く違います。乾癬は周囲の方にうつる病気ではありません。
乾癬は症状によって以下の5つに分類されます。
原因はまだわかっていないことが多いですが、乾癬になりやすい遺伝的な素因や感染症、不規則な食生活、肥満、ストレスなどの環境因子が関わっているとされています。
また最近の様々な研究から免疫系の異常が指摘されています。本来免疫は細菌やウイルスから体を守るために働きますが、何かのきっかけで免疫に異常が生じると、免疫が過剰に活性化し乾癬の症状が引き起こされると考えられています。
また乾癬では炎症を促す様々な物質(炎症性サイトカイン)が過剰につくられることも明らかになっており、乾癬の発症と深くかかわっていると推定されています。
一般的に乾癬というと「尋常性乾癬」を指すことが多いです。皮膚の一部に赤い発疹ができ、その表面に厚くなった角層が付着し剥がれ落ちる症状が特徴的です。
かゆみの症状は半数程度の方にみられ、入浴時や、アルコール、強い香辛料を摂取したときなど、体が温まるとかゆみが強くでることがあります。発疹は「擦れ」など、慢性的に刺激を受けやすい頭皮や生え際、肘、膝、臀部、下腿などに現れやすいです。
また、関節症性乾癬の場合は発疹以外に、腱などの筋肉と骨の付着する部位に炎症が起こり、関節炎よる痛みが現れます。多くは皮膚の症状が先にでてから関節の症状が現れますが、なかには関節症状が皮膚の症状より先に出現することもあります。そのため皮膚の症状と関節炎が同じ病気だと気づかれないことも多いです。
問診や視診、患部を触る触診によって診断します。
他の疾患と区別が難しい場合には、皮膚の一部を切り取り、顕微鏡で調べる皮膚生検を行います。
関節に痛みがあれば、紹介施設にてエックス線撮影やMRI、エコーなどの画像検査で異常の有無を確認する場合もあります。
まずステロイド外用薬やビタミンD3外用薬の外用治療が基本となります。
また乾癬は慢性の病気であり、症状が悪化したり軽減したりする状態を繰り返しますので、その時の症状に応じて光線療法やアプレミラストと呼ばれる内服薬を追加するなどしていきます。
発疹の程度がひどく広範囲に及ぶ場合や上記の治療で十分な効果が得られない際は、生物学的製剤と呼ばれる点滴または注射で行う治療もあります。(生物学的製剤による治療に関しては導入施設への紹介となります)
乾癬は皮膚症状などの身体的なつらさだけでなく、肌を見られることや夏場に薄着ができない、温泉に行きづらいなどの不便さをよく聞きます。
そのため当院では、治療方針を決める上では乾癬の症状だけでなく、苦痛の程度や、どこまで治したいかという患者さまの希望、ライフスタイルも当院では考慮して治療を行っていきます。